『ぼく おかあさんのこと…』
- タイトル:
- ぼく おかあさんのこと…
- ISBN/ASIN:
- 978-4-89423-261-7
- 著者:
- 酒井駒子
- 出版社:
- 文溪堂
- 価格
- ¥ 1,575 (税込)
- あらすじ:
-
うさぎのぼうやはお母さんが嫌い。なぜかって、それは…
「ねぼすけだし、ドラマばっかりみてるし、すぐ怒るし、早く早く、早くしなさいって言うのに、園のお迎えは遅いし、お洗濯忘れるし…!」
もう、こんなお母さんとは暮らせない!
家出を決意したぼうやですが…
初めてこの絵本を読んだ日は、繰り返し5,6回、読むことを求められました。
今でも息子が大好きな絵本の一つです。
最初に読んだのは、息子が1歳になったころだったと思います。
その数ヶ月前に言葉が出始め、このころは簡単な言葉を真似たり、言葉の一部を代用として用いたりしていたと記憶しています。
その息子が、数日後、たどたどしい口調で
「うれしいとも、して!」
と言うんですね。
(とても短い家出から戻ったぼうやはお母さんに尋ねます。
「ぼくとまた会えてうれしい?」
その返事におかあさんは「うれしいとも!」といってぼうやを抱き寄せます。
それをやってほしい、と)
そんなことを言われて、本当にうれしくなって、何度も何度も「うれしいとも!」をやりました。
息子が少し離れた場所で小首をかしげて「うれしい?」と言ったら、両手を広げて「うれしいとも!」というのが、遊びのひとつにもなったくらいです。
そんな嬉しい日々が、およそひと月ほど続きましたが、その後数ヶ月、他の絵本に出番を取られておりました。
2歳になったある日、息子はこの絵本を本棚から取り出して、わたしのところに持ってきました。
「ぼく『おかあさんのことすきの』、読んでほしいの」
絵本のタイトルは『ぼく おかあさんのこと…』ですが、息子にとってのタイトルは『おかあさんのことすきの』なんですね。
(「すきの」の、「の」は息子の接尾語)
そうかあ、おかあさんのこと好きなんだ、と、とても嬉しくなりました。
久々の「うれしいとも!」の幸せだったこと!
「ママも君が大好き!」
それから数日後、にこにこと楽しそうに
「ぼく、おかあさんのこと、きらい」
などと言ってくれたのですが、
「おかあさんは、君のこと大好きなんだけどなあ」
と抱き上げて(少々がっかりしたように)答えると、くすぐったそうに笑いながらわたしの耳元に口を寄せて小さな声で
「おかあさん、すきの!」
いよいよギャングエイジに突入した息子のいたずらに途方にくれることもありますが、この本を読み、息子の「すきの!」を思い出すと
「まあ、まだ、途方にくれるほどではないか…」
と思うことができます。
この本に出会えて、よかった!
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