2009年1月 2日

三度目ともなると

拍手、一言感想、ありがとうございました。
お正月早々あれこれとありましたが、拍手や一言感想をいただきまして、心安らぐ思いがいたしました。
ありがとうございます。
たまりに溜まった一言感想の「早く続きを」にお応えすべく、頑張りますので、どんどん更新を請求してやってください。

さて。 実は行く年来る年を見終わった直後に父が倒れまして、昨日は元旦とは思えぬ元旦でした。
実はこのパターンは三度目です。
一度目は心筋梗塞、二度目は脳梗塞。
今回はくも膜下出血でしたが、幸いコイリングの手術も成功し、危篤は脱しました次第です。
今後は術後の経過を見つつ、脳血管れん縮への対処がおそらくは必要になるとのことでしたが、
「とりあえず退院までの一ヶ月間、ご家族の方にできることお見舞いくらいしかありませんので、あまり頑張りすぎず退院後のケアに備えて英気を養ってください」
とのありがたいお言葉をいただきまして、昨日は帰ってまいりました。
元旦だというのに早朝から治療をして下さった先生方には感謝の言葉もございません。
まったく医者泣かせな父で申し訳ない。

ところで興味深かったのは、医師の問診への母の受け答えです。
病状確認のため倒れる直前の父の生活を、意識のない父に代わって答えるのですが。
たとえば、「食事はどのようなものを召し上がっていらっしゃいましたか?」
これへの返答が、
「軟食を作っていました。その時々で、ミキサーにかけたり、すりつぶしたり、とろみを付けて……だから、いろいろやってました。いろいろです。全部は言えません」
と、父の食事についての返事ではなく、母の介護の内容になっちゃうんですね。
他に「歯のぐらつきはありませんか」にも
「歯の負担にならないように、食事はできるだけやわらかく食べやすいものを用意していました」
「前回の脳梗塞以後、ご自身で食事はできていましたか」にも
「満腹になってではなく、不自由な利き手で食べることに疲れてしまって食べなくなるので、毎食、最後の数口はわたしが食べさせていました」
と終始この調子。
先生は「母の介護の内容」を聞いているのではなくて、「父の食生活」を聞いているのですが、それが母にはわからないようです。
どうも彼女は「父の介護の仕方に穴がなかったか」を確認されていると思っていた模様。
ちなみにわたしなら順に
「食事は軟食です。稀にむせることがあるので、とろみも付けていました」
「歯のぐらつきはありませんが、歯茎が痩せて入れ歯が合わなくなってきているので、歯茎で噛める食事であることが必要です」
「ほぼ自力で食事はできましたが、食べることに疲れた様子を見せた場合には介助もしていました」
と答えたと思います。

帰宅途中に母は
「さっきの問診、警察の尋問みたいで嫌な気分だった! ほとんど同じ内容のことを3回も繰り返し聞かれたのよ!」
などと言っておりましたから、たぶん、本当に「母の介護の内容」を聞かれているのだと思っていたのだと思います。
きっと採点をされているように感じてしまったのでしょうね。
(で、落第点をとったような気持ち)

母は理想主義というか、完璧主義というか、ぶっちゃけ傲慢というか……
百を求めて九十九を不意にするようなところがありまして、かつ自分は百できて当たり前と思っているみたいなので、父が倒れたことがもう母の
「理解の範疇を超えている」
事態なのだろうことは推察できるのですが……。
極論すれば在宅看護は素人看護ですから、至らないことがあって当然なんですよね。
そこで「かゆいところに手が届かなくてごめんあそばせ」と思えない母はかわいそうです。
そんな母の介護を受ける父は、でももっとかわいそうなのかな。
どうしてやれないのよ、わたしがこんなに頑張って介護してるのに、なんて思われても、そうそう理想どおりに回復できるなら介護はいらんですしね。
理想的な回復を遂げてほしいと願う気持ちはよくわかるのですが。

実家から帰宅する前に
「『自力でできることは六割、残りの三割は他人さまの手助けが、一割は天の力があってこそ』くらいに思っておかないと辛いことになる。いつも十割達成できるつもりでいるのは傲慢だし、そんなのは錯覚」
とは言っておきましたが……これはわたしがかつて祖父から聞いた言葉なんですけども。
母も聞かされたことがあるのか、わたしをまじまじと見て「今お父さん(祖父)の声で聞こえたわ」と。

命が潰えても、受け継がれるものってこういうものなのかな、とか。
いつか父や母が死んだときにわたしに受け継がれるものってどんなものかな、とか。
いつかわたしが死んだときに、息子はわたしから何かを継いでくれるかしら、とか。
そんなことを考えた元旦でした。

反動で本日は日がなぼーっと過ごしてしまいました。
まあ、一日遅れのお正月(休養)ってことでいいですよね。

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