目次は次のとおりです。
類語を一括して表記
表記の順に類語を解説。解説の末に用例を記しています。用例は主に著名な近代文学から一節を抜粋する形で記されています。
類義語辞典ではあるのですが
・名詞であればその動詞形、形容詞形などが
・動詞、形容動詞には活用が記され
国語辞典としても使えるといってよいほど詳細に語が解説されています。
……国語辞典が類義語別になっている、と言うほうがしっくりくるかもしれません。
類義語の差異を詳しく調べたいときに役立ちます。
ただ、五十音順であるがゆえに、「言葉のカテゴリ」を頼りに語を探そうとすることには若干不向きなように思います。
用例の文章がまた美しいのです。その一節に心惹かれて買ってしまった小説もあります。
実際に文章に用いられている姿をみるのはよい勉強になりますよね。
辞書に載っている言葉はあくまでも採集標本のようなものだとわたしは思います。
上手く言えないのですけれど、通常の辞書を押し花標本にたとえるなら、この辞典は水耕栽培の展覧会場のような感じ。
生の姿を垣間見ることができる。そこから生の姿を追いかけるきっかけになる。
そんな辞典です。
あとがきはこの辞書が作られるまでの経緯なんですけど、なんともドラマチックです。
昭和四十年末から始まり、六十年にひとまずの完成をみるまでの物語。
「掲載する語を8000語まで絞り込む」という箇所に、絞り込んで8000語かよ!と驚き、図らずも除外しなければならなかった語への心残りが「さわやか」でなかったとの文を読めば、そうかもなあと考え込み、これはあくまでも「中間報告」だとこの辞書を語る姿に胸をうたれ……
「使う」はもちろん「読み物」としても、十分に楽しめる辞書だと思います。