目次は次のとおりです。
副詞のもたらす印象を解説しています。
たとえば、「あいかわらず」「いまだに」「まだ」。
どれも現在の状況や状態が過去と変わりないことを示す副詞ですが、印象はまったく異なりますよね。
なぜわたしたちはこれを使い分けるのか、を解説する書です。
見出し語 [漢字表記] ローマ字表記
用いられる意味を大別し、それぞれに用例を挙げる
【解説】
大別される用例ごとに解説する。ことばから受ける印象のプラスマイナスを明記。
類義語とのニュアンスの比較、暗示される感情やことばの主観性客観性を解説。
→ 類義語を列挙
あえて反対はしなかった、と、とりたてて反対はしなかった。
反対しない、という行動を修飾している「あえて」「とりたてて」ですが、印象は随分違います。
この辞書を引いてみると、その違いは「結果を期待する気持ちがあるか否か」。
つまり「あえて」には、そうすることでよりよい結果を期待する暗示があり、「とりたてて」には意図的に行為しないことだけを表す、という差異があるのだそうです。
同じように「あえて苦難の道を選ぶ」とき、苦難の果てには普通の道を歩んだときよりもよい結果があることを期待しており、「わざわざ苦難の道を選ぶ」には意図的に苦難を選んだ行為だけを表し、その結果には言及しません。
これらを読み、副詞には「心象」への働きかけがあると思いました。
心情をくどくどと語るよりも、副詞の選択に意識を向けることが必要だなあと、読みかえす度、反省します。
副詞を上手く使えれば、伏線貼りにも活躍しますよね。
副詞選びで、文議的には似ていても、もたらさられる心証が大きく変わるということを実感いたしました。
名詞や形容詞、形容動詞の類義語選択がより適した「表現」のためのものであるとするなら、副詞の類義語選択はより適した「意味、解釈」のためのもの、だと思います。
何を思ってその行動を為しているのか、その行為をどのように感じているのか、という副詞選択による差異を強く意識するきっかけになりました。
セミハードカバーなのですが、やや表紙が固いため、左手だけでは操れないのが残念(?)
同シリーズの「現代形容詞用法辞典」「現代擬音語擬態語用法辞典
」もお勧めです。
類義する副詞や形容詞、オノマトペの心証の違いを知っておくことは、有意義だと思います。