椿(カメリア)の ほとりと土に くちづけす

 ほと、と、かすかな音がする。
 振り向くとまた一輪、春を待つ大地に花が触れる。
 ああ、この花こそが大地に花を呼ぶのだろう と
 そんなふうに思いました。
 

あな雪か 見紛うほどに 玉椿
     地を埋めてや ましろましろに

 え? 残雪?  かと思ったら白い椿の花でした。
 思わず駆け寄ってみると、花はまだしゃんとしていて。
 椿の花は、大地を飾るために、ちょっと早めに落ちるのかも。

 それは、春のさきがけ。
 雪が溶けて、眠っていた大地が目覚めるの。

 でも、隠しておきたいこともあるから
 雪化粧から、花化粧へ・・・・・・。


 風艸庵句会。

 3月のお題、わたしが選んだのは「椿」。

 今回は迷うことなくこの季題を選びました。

 椿というと「首が落ちる」などのイメージからか、無常観や死生観、特に、「変わらずにいるものはないのだという嘆き」を思う方が多くていらっしゃるようで、どうしても切なさと陰りをともなうような句や歌が主流であるように感じます。
 でも、わたしにとっての椿は、春の萌し、そして魁(さきがけ)です。
 句と歌をお送りしたメールに、こんな言葉を添えました。

 >この花を思うときに浮かべる映像があるんです。
 >冬の淡いコントラストの中に、ひときわ鮮やかに咲く椿。
 >その椿の花が枝から離れて、ゆっくりと落ちてゆく。
 >椿の花がちいさな音とともに地に触れる。
 >花が触れた地面から、波紋のように周りへと色彩が広がる。
 >そこから次々に花々が芽吹くような、そんなイメージなんです。
 >春の先触れ、とでも言うのでしょうか。

 この花が咲く。モノトーンのコントラストの冬の最中に。
 そして散る。
 花が落ちた大地から、色が甦る。春が訪れる。
 そんな魔法を感じるの。
 だから、春の木って書くのでしょう?

 なんて、ね。

 そしてこの春の萌しを感じてくださったKazさんと、初の小さなコラボレーションが実現。
 ふっふっふ。なんと素敵な返歌をいただいてしまいました。
 うれしいなぁ。
 その麗しい紅椿は、どうぞこちらでご覧くださいませ →「風艸庵」

発句帖目次へ戻る


風艸庵